ワン・ゼロ

1984年初出 佐藤史生
小学館プチフラワーコミックス 全4巻

今読み直してこそこりゃ凄いと実感できる漫画かも知れないですね。

なんと言ってもですね、まだインターネットどころか携帯すらまるで普及していなかった時代にネットワークと神の存在に着目した炯眼にはほんと言葉を失う。

当時、映画や活字も含めて、誰一人としてこんなことやってないのは間違いないです。

なんせ攻殻機動隊より5年以上早い。

それでいて内容はさらにSF的創造性に富んでいるときた。

初読は学生の頃だったんですがが、パソコンの概念すら曖昧だった私には電話線を介してネットワークが世界を覆うという事象を理解することがまず困難でしたね。

ましてやそこにヒンドゥー教の神々が登場して電脳空間に居座ったりなぞされた日にゃあもう、なんのことだかさっぱりわからず。

本作、恐ろしく早かったサイバーパンクであり、かつまた同時に、神の存在と電脳世界がリンクした超伝奇でもあります。

今でこそこの手の物語はSFの世界で使い回されてますが、これを80年代にやったと言うのが驚愕ですね。

当時本作が掲載されたプチフラワーを読んでいた女性読者は腰を抜かしたのではないかと思う。

あまりに難解で先端過ぎて。

というか、みんな、ほんとにこの漫画、理解して読んでたの?

改めて読んでみても先鋭的だ感じる部分がもはや恐ろしくもある、80年代女流SFマンガの超絶たる金字塔。

歴史に名を残す一作でしょうね。

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