1979年初出 望月三起也
ぶんか社コミック文庫 上、下
新撰組の母体となる浪人たちが京に上って新撰組を結成し、後世に知られる組織の体裁を整えるまでを描いた作者には珍しい歴史もの。
新撰組自体に詳しくないので、史実を作者流に改変しているのかどうかすら分からないんですが、まあ、やってることはワイルド7以降の「男の生き様」を「タフに描く」という一連の十八番です。
歴史もの、と意識せずともさくさく読める。
相変わらずどこまでも虐げられる主人公にやきもきさせられ、反撃の狼煙はいったいいつ?と心待ちにせねばならぬ内容なんですが、残念ながら本作は途中で連載打ちきり。
それなりにストーリーは落とし所を見つけてはいるんですが、えーこれからなのに!という欲求不満はどうしたって残る。
ファンの支持の高い一作ですが、個人的には幾分消化不良な印象。
安心の望月印には間違いないんですが、欲を言うならば時代劇であることが作者らしさを逸脱して欲しかったですね。
新たな一面を見せてほしかった、というか。
内容に大きく期待を裏切られることはないとは思うんですが。