1976年初出 辻真先/石川賢
講談社漫画文庫 全2巻
講談社文庫版が発売される際に何故か「聖魔伝」から「セイントデビル」にメインタイトルが変更。
詳細は知りません。
師匠である永井豪のデビルマンような作品が描きたい、と辻真先とタッグを組んだのが本作らしいんですが、正直微妙な作品。
デビルマンに肉薄する、と言うなら間違いなく同時期に連載されていた魔獣戦線の方が素晴らしい出来で、本作の場合、同じ題材で似たようなテーマに挑んだもののどこか上滑りしてしまった印象が濃い。
端的に言うなら、二元論的な神と悪魔の闘いに人が巻き込まれちゃって大変だ、でこの物語は終わってしまっているんですね。
そもそも主人公のテレサとユンクの姉弟からして人間ではないわけで、その不遇、不幸をまことしやかに描かれたところで非常に感情移入しにくい、というのはどうしたってあります。
スケールは大きいんですが、だから結局なんだったんだ、って感じ。
いっそのこと神々の世界を描く異世界ファンタジーにしてしまえば良かったのに、と思ったりもするんですが、やはり学園もの的な展開はこの時代は必須だったんでしょうか。
原作まで迎えて挑んだ作品ですが、うーん、失敗作では、と。