真説・魔獣戦線

2002年初出 石川賢
秋田書店チャンピオンコミックスRED 全4巻

石川賢、初期の傑作魔獣戦線の続編。

舞台は天変地異が続いて荒廃した未来の地球なんですが、1巻読了時点で早くも違和感。

というのも、前作のあの終わり方で続編、となると、慎一と神々の戦いを描くハルマゲドンをやらかすしかないはずなのにそんな気配はまるでなく、再び13使徒との小競り合いに終始なんですね。

なぜ物語をまた巻き戻すのか、と。

マリアがちゃっかり復帰してるのもどうなんだ、って感じです。

これ、ちゃんと説明できるのか、と不安に思っていたら、案の定うやむやなまま最後には矛盾を抱える羽目に。

続編と言うよりはリテイク、といった感触。

ただ最終回、前作では描かれなかった神々の正体がおぼろげながら明かされていて、そこは「ああっ、ここへつなげるのかあ!」とかつてのファン気質が沸騰。

もしこの作品が90年代に描かれていたらきっと虚無戦記シリーズに組み込まれていたことでしょう。

なんでもかんでもデビルマンに落とし所を求めた師匠の永井豪じゃないんだからそんなところまで真似しなくても、とつっこまれそうではありますが、私は石川賢がまだ虚無戦記を忘れていない、という事実に感銘を受けたりしましたね。

ひょっとして虚無戦記、再開されるんじゃないか、って。

残念ながらそれは叶えられることなく、この作品が最後の長編となったわけですが、焼き直し風であるとはいえ、70年代からはるかに進化した高い画力で精緻に描かれた魔獣とその顛末は、かつての石川ファンなら満足いくものだと思います。

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