1985年初出 野部利雄
小学館少年ビッグコミックス 1~2巻(全8巻)
今は亡き、少年ビッグコミック~ヤングサンデー初期に掲載された作品。
子供の頃読んでおもしろかったような記憶があったので、再読してみたわけですが、やっぱり30年の歳月は読者の側にも作品にも経年という名の残酷さを降り積もらせるよなあ、と思った次第。
中世的世界観を流用したヒロイックアクションファンタジーなわけですが、 RPGの隆盛を経て、この手の作品はメディアを問わず恐ろしい数が存在してますから、もうどうしたってね、既視感は否めないわけです。
またシナリオがあまりにもセオリーに忠実で。
異形の造形が永井豪影響下のチープさなのも辛い。
本来ヒロイックファンタジーといえば「英雄コナン」であり「指輪物語」であると思いますし、国内なら「グインサーガ」で、その手の作品を踏襲したであろうことは予測がつきますが、それも今となってはマニアのための知識に成り下がっちゃってるのは確かで、そこを踏まえようが踏み外そうがどうでもいい、と言うのが現状であるように私は思います。
それぐらいこの手のファンタジーは氾濫増殖して溢れかえっちゃってる。
残念ながら時代の変遷に置いていかれた作品でしょうね。
作者得意のラブコメ的展開は微笑ましく思いますが、「のぞみウィッチーズ」や「わたしの沖田くん」の方がまだ読める、と私は思いました。
続巻に手を出そうと言う気になれず。
野部利雄の熱烈なファン向けの作品だと思います。
今あらためて読むような作品ではない気がしますね。