1986年初出 板橋しゅうほう
講談社モーニングKC
この世あらざる怪現象を独自の呪法で丸く収める、いわゆる「祓い屋」兄弟の活躍を描いたオカルト・アクション。
割とありがちなプロットではあるんですけどね、これがもう滅法面白い。
なぜこのシリーズがたった5話で終わってしまったのか、ほんと私は理解できないですね。
なんと言っても斬新だったのは、修験道?を祖とする兄弟の呪的特殊技能に、理論体系のまるで異なる異国の怪異を毎回ぶつけてきたことでしょうね。
2話でブードゥー教、3話で不死身と呼ばれた修道士、4話でアボリジニの秘術、最終話なんて地球外生命体ですよ。
もはやオカルト世界大戦。
それぞれの土地で独自に練り上げられてきた秘術に、日本の祓い屋はどこまで対抗できるのか?このシチュエーションに胸踊らないはずもなく。
いわば闇のイデオロギー闘争なわけですよ、これって。
もちろん喧々諤々と議論を交わすわけじゃないんですけどね、なにが通用してなにが通用しないのか、それを見てるだけで恐ろしく想像力が掻き立てられてくる。
中盤で、兄弟の祖先の霊を自由に降霊させることのできる、アユミという少女のキャラを放り込んできたのも秀逸。
アユミがここ一番で、兄弟が受け継いでない秘術や妖力を炸裂させるんですな。
痛快とはまさにこのこと。
また、兄弟の使う呪法を現代的に省力化、簡素化してモダンに演出してるのもいい。
御大層じゃないのが、いい意味でアクションシーンをもり立ててる。
SF的な謎解きがところどころに盛り込まれてるのも、物語の奥行きを広げてると言っていいでしょうね。
ともかく、最終話だけでも読んでほしいと思いますね。
エイリアンとアメリカ人特殊処理班、妖術本舗が三つ巴でオカルトと科学を駆使して戦うストーリーは発表から30年を経過した今でさえ、全く色あせてないです。
未だ誰もこんなことやってない。
隠れた傑作だと思います。
ファンならずとも是非。