漂流教室

1972年初出 楳図かずお
小学館少年サンデーコミックス 全11巻

問答無用の必殺の傑作。

何度もドラマ化、映画化、舞台化された作品ですが、そのどれもが原作の素晴らしさに寸分たりとも及んでない、という名作中の名作でしょうね。

教室まるごとが荒廃した未来にタイムスリップする、というアイディアも峻烈でしたが、頼れる大人が居ない中、子供達だけで砂漠を生き抜こうとする設定はもう、びっくりするぐらいこの作品を生々しく血の通うものにしたと思います。

いかに子供だましにならないか、荒唐無稽にならないか、がSFの命題だとするなら、奇抜なプロットをここまで徹底してリアルに演出した漫画は過去なかったのでは、と私は振り返ってみたりするわけです。

まあ少年漫画ですんでね、未来人類が跋扈する回とか、若干のつっこみどころは存在してるんですが、それも瑣末事、と私は言いたい。

緊迫感、臨場感、スリル、ドラマティシズム、そのどれもが一級品。

また最終回が凄まじい。

まさかこう締めくくるとは、と初読時、驚愕しました。

こんな終わり方があったのか、と。

大人になってから再読した時なんて号泣でしたね。

なんだかわからないんですが、泣けてしかたがない。

幼いのにあまりにけなげなのが、きっと涙腺を決壊させたんだろうなあ、なんて思ったり。

読まずば損失レベルの70年代少年SFの金字塔だと思います。

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