1995年初出 さいとうたかを
リイド社SPコミックス 全5巻
サバイバルの青年向けバージョン、リテイク版と考えていいんじゃないでしょうか。
つまり同様に本作も「うんちくもの」であることを意味しているわけですが、これがうんちくものなりに意外と面白かったりします。
地球に接近する小惑星へ安直にミサイルを撃ち込んだ結果、ほぼ自業自得な有様で地球にその破片が墜落、結果壊滅的なダメージをこうむる、という設定は実にシニカルで、よくできていたと思います。
ぐっと、物語に惹きつけられるものがある
さて残された人間はどうやってこの文明の崩壊した社会を生き抜いていくのか、というのが物語のテーマなわけですが、希望らしい希望が見当たらない分だけ期待は膨らむわけで。
さて、どう、ケリをつけるんだろう、と。
中途半端に楽観していないことがストーリーに緊張感を持たせていたことは間違いありません。
まあ、主人公の、過剰とも思える社会性の欠如した純真さや上司のステロタイプな人物像、中途半端なラブロマンス等、うざったいものもなくはないんですが、それなりに終盤まで飽きさせなかったように思うんですね。
やはり問題はラスト。
結論から言ってしまえば、私の期待に沿うものではありませんでした。
文明を失って荒野に生きる、ということを実践面からしかアプローチできなかった結果がこうなのだろうなあ、と思ったりはしました。
つまりは、うんちくが尽きた、ということ。
さいとうたかをはつくづく現実的な人なのだと思います。
もう少しSF的発想があれば、本作は、漫画史に残る作品になりえたと思うんですね。
サバイバルより面白いと感じただけに残念。