アメリカ 2002
監督、脚本 カート・ウィマー

第三次世界大戦後の近未来、感情を抑制する薬を投与することで平和を維持しようとする管理社会を描いたSFアクション。
ジョン・ウィック(2014)を見て思い出したんで久しぶりに見てみたんですが、記憶していたよりもずっとおもしろくて、こりゃ全然負けてないぞ、と興奮した次第。
最大のセールスポイントは拳銃を持ったまま敵と格闘する殺人術、ガン=カタを考案し、それを最高にかっこいい連続ショットで撮ってみせたことにあるわけですが、あらためて感心させられたのは、ドラマ部分も意外にちゃんとしてたこと。
最終的には無敵のヒーローが力技で全てを解決、というお定まりの難点はあるものの、主人公ジョン・プレストンが薬を投与しない事で徐々に感情に目覚めていく描写は思いのほか細やかな演出があり、驚かされました。
特に渇きを癒すかのように窓の遮光幕をはがすシーンはなかなかの切迫感。
全体のトーンがSFアクションには似合わぬ落ち着いた色合いなのにも感心。
つまりは静と動のメリハリがあるんですね。
感情を抑制しているにもかかわらず激昂する敵親玉がいたりとか、若干のつっこみどころはあったりするんですが、それを勘定に入れたとしてもなかなかここまでの斬新さとシナリオの安定感を併せ持つSFアクションはないぞ、と私は思います。
主演のクリスチャン・ベイルの抑えた演技も良し。
クライマックスでの白服もブルース・リーか!と思わずつっこみたくなるカンフー愛に溢れていて、にんまり。
一向に古びぬ傑作でしょう。
いや、おもしろかった。
マトリックス(1999)の後塵を拝する形になったのがこの作品の不幸だったなあ、とつくづく思いましたね。
コメント
[…] 近接戦闘向けのガンアクションという発想は、リベリオン(2002)のガンカタの焼き直しとはいえ、充分に観客を画面に釘付けにする情け容赦ないスリルに満ちていたように思います。 […]
[…] リベリオン […]