バロン

アメリカ 1989
監督 テリー・ギリアム
原作 ゴットフリート・ビュルガー

バロン

「ほら吹き男爵の冒険」を底本に、ギリアムが独自の感覚でミュンヒハウゼン男爵の活躍を映像化したローファンタジー。

舞台は18世紀のドイツ。

トルコ軍の侵攻から町を守るため、かつての家来を探して男爵と少女が冒険の旅に出る、という物語なんですが、 これがもう半端じゃないおもしろさで、必見の出来。

地雷のように爆笑ポイントが散りばめられているのも最高なんですが、やはり特筆すべきはその空想力ととどまるところを知らぬ悪ノリでしょうね。

月の世界に、火山の中、巨大魚の腹の中、と、作りこまれた小世界が矢継ぎ早に場面展開。

どれもこれもギリアムでしか表現し得ない独特の構築美。

多彩な登場人物の愛すべき人物造形と、ばかばかしくてアイロニカルなセリフ回しが、監督の独壇場とばかりに空想の世界ではじけます。

しかしよくぞまあこれだけ滑稽で個性的なキャラクターを取り揃えたものだと思いますね。

有名なのはノンクレジットながら月の王役を演じたロビン・ウィリアムスですが、中でも特に家来役バートホールドが私は大好きでして。

彼が走り出すシーンは何度見ても抱腹絶倒。

すきっ歯のサラ・ポーリーが一行の中で一番しっかりしてて大人、という設定もいい。

結局集まったのは全盛期を過ぎたおいぼれ集団、というのもひたすら笑えるんですが、それでもきちんとカタルシスを得られる見せ場が用意されている、というのがこれまたいい。

エンディング、急にメタな展開になって、頭の中にクエスチョンマークが飛び交ったりはするんですが、これだけ手の込んだ事をやってくれたら文句はありません。

RPG世代の人に見て欲しいですね。

誤解を恐れずに言うなら、私にとってファンタジーとは、この作品のことに他なりません。

繰り返し何度も見た大好きな1本。

良質の笑いとあふるるイマジネーションが融合した、私にとってギリアムのベスト、と言っていい作品かもしれません。

コメント

  1. […] 余談ですがギリアムが「バロンのことを言うやつは痛い目にあわせてやる」と言ってるのに爆笑しました。 […]

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