アメリカ 1992
監督 ジョン・カーペンター
原作 H・F・セイント
しかしこのひねりのない邦題はなんとかならないものか、と。
かの有名なHGウエルズの透明人間のリメイクか、と勘違いしちゃった人もきっと居たはず。
せめて原題に忠実に「透明人間の追憶」とか。
そしたら全然印象が変わると思うんです。
まあ、いいんですけど。
この作品が目新しかったのは透明人間=捕縛不可能な犯罪者、というイメージを覆して、CIAに追われる逃亡者、として透明人間のイメージを刷新したことにあると思います。
実は突き詰めると透明人間って、協力者が居ないと日常生活も満足に送れないんだよ、とした描写は、いわれてみれば確かにその通りだ、と膝を打つ定石崩しでしたね。
さらにうまかったのは、この題材をラブロマンスで味つけしたこと。
追われる異形の男と、なんとか男とともに逃げようとする女の逃走劇、そりゃあなた盛り上がりますって。
だって透明人間の恋の行く末なんて、いったいどういう顛末を迎えるのか、まるで想像できませんし。
透明であることを対CIA対策としていかに武器にするか、といった知恵比べもよく描けていたように思います。
まあ、それなりにつっこみどころはあるんですけどね、それでも私はこの作品、好きですね。
CG黎明期の作品として、過去映像化できなかった絵が形になっているのも見どころのひとつ。
あまり話題になってない作品ですが、私は実に映画らしい映画だと思いますね。
カーペンターの隠れた秀作。