アメリカ 1989
監督 ブライアン・デ・パルマ
原作 ダニエル・ラング

実話を元に映像化された、ベトナム戦争の悲劇を描いた作品。
いやもうなんていうか、とにかくしんどい作品です。
本当に救いがなくて悲惨で。
助からないんだろうなあきっと、と思って見てたら本当に助からなくてぐったりしちゃった、と言うのが本音。
生と死の境を綱渡りな毎日だからこそ本当にギリギリまで考えて僕達は行動しなくちゃいけないんだ、と主人公は訴えますが、そもそもですね、そんな正論がまかり通るはずもないのが戦争であって。
本当に憎むべきは罪を犯した同僚や、無関心な上官ではなく、戦争という蛮行を幾度となく繰り返している国家の体質であることに本作は言及すべきだったと思います。
結局誰かの掌の上で踊らされたまま、罰を司直にゆだねて満足しているだけ、という見方もできると思うんですね。
もちろん軍曹達のやっていることは鬼畜の所業です。
でも1人の女性の命と、銃弾に倒れたベトナム人の命は、その背景こそ違えどイーブンでなければおかしいと思うんですよね。
ベトコンは殺してもいいが非戦闘員の女性はダメ、ってそりゃ偽善だろうと。
正義や人権を訴えるのなら、ですよ。
結局戦争は仕方ない、と言う前提ありきのヒューマニズムなんですよね。
戦争そのものになんら疑問は呈されていない。
当時、多くの戦争映画が相次いで作られましたんで、そこに便乗しちゃったか、という気がしなくもありませんね。
デパルマ、本当に戦争の悲劇を描きたい、と思って撮ったのか?と疑問な1本。
ハリウッドで売れる、という事はこういう作品もさらりとこなさなきゃいけない、という事なのかもしれません。
巧妙なプロパガンダ映画だと思えなくもなく、ああ、監督も変わっちゃったなあ・・って感じですかね。
コメント
[…] はっきり言って後のカジュアリティーズやリダクテッドよりはるかに風刺が効いてます。 […]