1993年初出 垣野内成美
講談社アフタヌーンKC 1~2巻(全4巻)
人知れず雑木林の奥に存在する古びた病院で、偶然の出会いと語らいを提供する看護士風のお姉さんの「心の処方箋」を紡いだ物語。
とりあえずファンシーです。
ほとんど少女マンガ、と言っていいと思います。
会おうと思うとなぜか会えない、相談者にはお姉さんが天使風にみえる、など、ファンタジックな意匠がほどこしてありますが、ストーリーは1話完結で誰もが抱える悩みに回答の道筋を提示する、という形式で進みますんで、ライトな人間ドラマ、と捉えたほうがわかりやすいかと思います。
この内容でなぜお姉さんを謎めいた存在にする必要があったのか、私にはよくわからなかったんですが、寓話っぽくしたかったのかもしれません。
ただ、ちょっとどっちつかずかな、という印象は受けました。
寓話として成立させるには想像力が足りないし、身近なドラマとして接するにはあまりに夢見がち。
お姉さんがどんどん浮世離れした単に天然な人に見えてきてしまうのは、私が俗世の垢にまみれすぎているからかもしれません。
なんとなく少女向きかな、と思いましたね。
心優しく繊細な作品ですが、もはや壮年といっていい男性が読むにはちょっと。
吸血姫美夕とはまた違った味わいがあるのは確かですが。