1996年初版 吾妻ひでお
ハヤカワ文庫 全3巻

メジャー誌からドロップアウトし、青年誌やマニア誌に活躍の場を求めていた頃の作品を集めたもの。
まあ率直に言って、これを楽しめるのは古くからの吾妻ファンか、コアなSFマニアぐらいではなかろうか、と思います。
SFパロディ調のスラップスティックなネタが多いんですが、私の感覚ではまるで笑えなかったし、にやりとすることもなかった。
「失踪日記」以降の化けっぷりを鑑みるならこれはやっぱり迷走期の作品、という印象が濃いですね。
そもそも私自身が熱心な吾妻ファンではない、というのもあるんですが。
すいません。
とはいえ、唯一、2巻に収録されてる「不条理日記」に関してのみは、無視できない、と思う次第。
当時誰もこんなことやってなかったのは間違いありません。
普通はこんなデタラメやらかしたら間違いなく誰もついてこないはずなのに、それをちゃんと読ませてしまうセンスは作者ならではのものだと思います。
新規ファンは不条理日記目当てで購入、と言うのが正しいのではないかと。