2024 中国
監督 リー・ウェイ
脚本 リー・モウ

なんかパッとしなかったマックス・チャンがようやく役柄にカチッとはまった快作
中国の春秋戦国時代を舞台とした武侠アクション。
おそらく配信中心の作品で、劇場公開はしてないと思うんですが、これが予想外にいい出来でして。
私がこの作品を手に取ったのはイップマン継承(2016)で名を挙げたマックス・チャンが主演だったからに他ならないんですが、これがうれしいことに、マスターZ(2018)以降、どうにもパッとしなかった数年が嘘のような痛快作に仕上がってまして。
個人的には、せっかく日の目を浴びたというのに出演作に恵まれず消えていくのかマックス・・・と思ってたりもしたんで、ほんともう「ようやくなんとかなったかー!」と溜飲を下げた有様。
正直、今回の文章、ファンの欲目で過剰に褒めてしまってる部分もあるかもしれません。
いや、だってさ、ドニー・イェン以降、カンフーの実力とカリスマ性を兼ね備えたスターが輩出されてなかったからさ(いるのか?)マックス・チャンにはかなり期待してたんですよ、私は。
ドラゴン×マッハ(2015)の頃からずっと気をもんでた、と言えばそのファン心理もわかってもらえるはず。
無敵のドラゴン(2019)とか、ひどかったもんなあ・・(遠い目)。
まあ、そりゃいいか。
で、本作ですよ、本作。
やはり一番評価すべきはアクションシーンに美意識があったことでしょうね。
序盤、火のついた紐を振り回して敵を撃退するシーンがあるんですが、その時点で早くも私はノックアウト。
暗がりで煌々と燃ゆる火が円を描くさまがなんとも幻覚的でねえ。
どこか演武のようにも見えるんですよね。
なんだかもう呪術的な儀式の一場面を見ているかのような気にもさせられて。
それは他のシーンにも言えていて。
女剣士とマックス演じる田安鄴の剣戟アクションなんて、まるでペアスケーティングのような華麗さがあったり。
終盤、最後の戦いに至っては、田安鄴が大刀を振り回してる横で、王子の母に、妖艶に踊らせやがりますからね、監督は。
いやもう、宝塚かよって(褒めてるんです)。
こだわりが凄いというか、クセが強いというか。
いやその、大好物なんですけどね。
ま、やってることは香港お得意の、アクションの連続性を損なわないように配慮しながらスローモーションを織り交ぜ、硬軟自在にワイヤーを使う伝統的手管だとは思うんですが(POV的視点を織り交ぜるという試みは新しかったかな)、なんかね、そこにチャン・イーモウっぽい動線の見せ方の美学があるような気がするんですよね。
調べてみたら監督のリー・ウェイ、SHADOW影武者(2018)に脚本で関わっていたとか。
なるほど納得、巨匠から何か学んだのかもしれません。
また、香港映画じゃありがちなシナリオの雑さが目立たなかった点も評価すべきだと思いましたね。
伝説の剣客が政争に巻き込まれたか弱い母子を救うため、無償で立ち上がる展開が胸アツでいいと思ったし、母子を逃がすためには3つの門を突破しなければいけない、としたゲーム性(ダンジョン的な)も時代劇ながら現代的感覚にフィットしていて良いと思いましたし。
それになんといっても私が一番快挙だと思ったのが、マックス・チャンが田安鄴のキャラにはまっていたこと。
不愛想なオッサンキャラなんですけどね、これがもう役柄にぴったり、って感じでね。
イップマンの時のチョン・ティンチより似合ってると私は思いましたね。
いや、面白かった、続編作ってほしい、マジで。
アクションシーンだけで飯三杯食えますね。
これが劇場公開されてない、ってのはほんと残念。
世間的な評価はあんまり高くないみたいですが、マックス・チャンのファンとしては狂刃、激推しする次第。
ねじレート 88/100

