中国/香港 2019
監督 フルーツ・チャン
脚本 フルーツ・チャン、ラム・キー・トー
犯罪捜査中の思わぬ失態で恋人をなくした刑事の、再起を描いた作品。
ドラゴン×マッハ!(2015)以降、個人的に注目しているアクション俳優マックス・チャン主演作ですんで、これは見逃すわけにいくまい、と発売日に手にとった1作なんですけど、うーん、もうちょっとなんとかならなかったのか・・・というのが正直なところでしょうか。
プロットがありきたりなのはこの際許す。
香港アクション映画に過度な期待をしたところで、そうそう新種にお目にかかれないことはここ10年ぐらいで学びましたし。
ここ30年と言い換えてもいいかな。
ま、ドニー・イェンの捜査官X(2011)とか、突然とんでもない作品が発表されることもありましたけど、これもイレギュラーというか、ピーター・チャン監督だったから、という事例にすぎないですしねえ。
9割の監督や制作陣が新しいことをやろう、と思ってないもんなあ。
それこそが香港映画の伝統であり保守本流、と言われれば返す言葉もないんですけど。
もちろんアクションは日進月歩で進化してますから。
今回も目をみはるシーンの目白押しではあるんです。
特に暴走する電車内での格闘シーンなんて眼を見張る。
これ、本当に大変だったろうなあ、と素直に感心させられた。
いやいや普通、死ぬだろ、と思わなくもないけれど。
終盤の、高層タワーでの格闘も高所恐怖症な人(私のことですけどね)にとっては胃がせり上がるようなスリルがあったと思います。
ちょっとアンデウソン・シウバの動きがシャープじゃないなあ・・、と思ったりはしましたけどね。
マックス・チャンの身体能力、体技を期待する人にとっては申し分ない出来、と言っていいかもしれません。
ただね、いつもことではあるんですけどね、ドラマがボロボロなんですよね。
もうね、上手な伏線の貼り方、布石の打ち方も知らんのか、と。
まー、盛り上がらない。
そのくせして余計なドラマを織り込んで、脇道にそれることは平気ときた。
エンディングなんて驚愕ですよ。
この映画って、実はファンタジーだったのか??!!とあたしゃ腰を抜かした。
いまだかつて「刑事もの」でこんな出鱈目というか、滅茶苦茶をやらかした映画って、ほぼないでしょうね。
香港映画界のアンダーグラウンドを掘削すれば類似作はごろごろ出てくるのかもしれませんけどね、そんなことに時間を費やす酔狂さは持ち合わせてないんで反論には応じません。
あとね、もう少しマックス・チャンを、かっこよく撮れないものか、と思うんですよね。
これは本人の自意識、役者としての存在感なんかも関係してくるのかもしれませんが、坊ちゃん刈りなのかツーブロックなのかよくわからん髪型がほんと似合ってなくて。
今、大事な時期だと思うんですよ、マックス。
ここ数年だとイップマン外伝マスターZ(2018)が一番良かったね、じゃダメだと思うんです。
長い下積みの末、ようやく日の当たる場所に出てこれたんだから、なんとか主演作で一発当てていただきたい、と願ってやみません。
次、期待してるから。
次こそはせめてドニー・イェンレベルの作品でお会いしたいものです。
ま、ドニー・イェンも「なんでこんな映画に・・」とずっこけるパターン、多いけれどもさ。
それはそれとして。