愛はステロイド

イギリス/アメリカ 2024
監督 ローズ・グラス
脚本 ローズ・グラス、ベロニカ・トフィウスカ

同性愛カップルの転落劇を描いたクライムサスペンス。

この作品が特徴的なのは、主人公カップルの片割れがマッチョなボディビルダーであることでしょうね。

レズビアン映画多々あれど、パートナーが全盛期のスタローンみたいに筋骨隆々なケースって、これまでなかったように思うんですよ。

というか「なぜそうなった?」と逆にこっちが聞きたくなるプロットだったりもするんですけどね。

いったいどの方面にニーズが?って。

マイノリティすぎやせんか?と。

ストーリーを追っていけば、なぜマッチョウーマンが必要だったか、それなりに理解できなくもないんですけど、でもそうじゃなきゃいけないわけでもないよね、って反証することも同時に可能で。

つまるところこれって監督のアイキャッチな罠であったような気もします。

なんだなんだ何が起こってるんだこれ?で軽く1時間ぐらいはひっぱられてしまうというか。

予測のしようがないですしね、ギャビ・ガルシアみたいな女性の同性愛の顛末とか。

いや、ルッキズムとかニッチさ以前に、創作の世界においてあまりにレア過ぎることが想像力をシャットダウンするというか。

特に中盤以降とか、これってロイド・レイジじゃねえのか?と思えるような展開へと突き進んでてますます混乱させられること間違いなし。

えっ、この特異な設定で、わざわざあえて薬物の危険さを訴えるわけ?なんで?みたいな。

いったい監督は何を描こうとしてるのか?と。

しかもおかしなユーモアがところどころあったりもして。

いやいくらボディビルダーだからってそこまで怪力じゃねえだろ、と思えるディフォルメされたシーンがあったり、終盤で理解不能な妄想みたいな場面があったり。

それでいてエンディングはビターじゃないテルマ&ルイーズ(1991)のようだったりもするんですよね。

いやー、わけがわからん。

この文章読んでる人は、もっと訳が分からんだろうと思うけれど。

乱暴に考察するなら、典型的なダメ男とダメ女の相互依存が招く転落劇を、同性愛カップルの中に見出すことで顛末の景色を変えた作品、ってことでは、と考えたり。

おかしな例えですけど、どう見ても暴投だったが、バッターボックス手前で変化してストライクゾーンかすめてきたみたいな映画でしたね。

実にA24らしい作品だと思います。

独特の切り口が楽しめる一作であることは確かですね。

あと、この映画をクィア・スリラーって宣伝してる媒体が多いですが、全然クィア関係ないと思うんで変な先入観抱かないのが得策。

正確にはクィアじゃなくて、片方がバイってだけ。

ちなみにクィアとかバイとか全部吹き飛ばす勢いでクセの強いキャラを演じてたのが、久々に見たエド・ハリスだったりします。

それにしてもキャラ、粒ぞろいだな、ひょっとするとかなり優秀なのかもしれない、この映画。

ねじレート 81/100

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