2024 アメリカ
監督、脚本 ブライス・マクガイア
プールに着目したのは悪くない、と思ったが、終わってみれば平均的なホラー
プール付きの一軒家に引っ越してきた一家に襲い来る惨劇を描いたホラー。
奇怪な出来事の元凶を自宅の湧水プールに見出す展開は、割と意外性あったように思いましたね。
こういうのってね、もう地縛霊というか新居をホーンテッドハウスにするしか手はないと思うんですよ。
旦那の療養も兼ねて引っ越し→廉価な中古物件→あれ?なんか変、というシナリオ進行が、全力で幽霊屋敷のお膳立てをしてますからね。
あまりに鉄板すぎて、見てて大丈夫か?と思ったぐらいですから。
ま、そこは、上手に裏切ってくれましたね。
湧水プールってのを私はこの作品で初めて知ったんですけど、プールを題材にして作品のネタとする発想は悪くないし、途中で飽きさせない工夫だったと思います。
それなりに最後まで楽しめましたしね。
ただね、それを加味したとしてもね、定型と言えば定型なんですよね。
わかりやすいホラーで、緩急のつけかたも上手なんですけど、ぶっちゃけるならこれ、ペット・セメタリー(1989)とやってることはほぼ同じなんですよね。
プールか、墓場かの違いがあるだけで。
そう考えると事件の後始末も、唐突なヒロイズムに頼るんではなく、もっと他の料理の仕方があったのではないか?と思えてくる。
呪いのプール(呪いじゃないけど)のもたらす法則性に従うんじゃなくて、ルールを逆手に取った逆転劇とかね、アイディア次第でもっと面白くなった気がするんですよね。
冒険せず無難に、感動路線にも色気だしちゃったのが視聴後の印象を平滑にしてしまったか、と。
ジェームズ・ワンの関わってるホラーってね、どれも必ず平均点以上ではあるんですけど、小さくまとまってる作品が多いような。
まるで野心的じゃないというか。
商業的にはそれが正解なのかもしれないですけど。
マリグナント(2021)は悪夢レベルで強烈だったのになあ、作品に関わってはいても、監督にあんまり口出ししない人なのかな、彼は。
あんまりジェームズ・ワンの名に反応しすぎちゃいかんな、と思い始めてる昨今です。
決して出来が悪いわけではないんでね、見るものがないなあ、って時には手を出してもいいんじゃないかな、と。
余談ですがトレイラーの婆さんは端役で、けっしてラスボスとかではないからね。
ねじレート 70/100