2024 香港/中国
監督 ドニー・イェン
脚本 エドモンド・ウォン

予想外に骨太でお話がしっかりした上質香港アクション
麻薬密売事件に絡む陰謀を暴く熱血検事を描いた法廷劇であり、アクション映画。
ドニーが検事役で、尺の7割が法廷劇、ってのは目新しい試みだったと思いますね。
ぶっちゃけね、誰もドニーに弁舌冴えわたる法の番人役とか、求めてない、と思うんです。
仮に、我々の予想を覆して検事役が滅茶苦茶似合ってた・・としてもだ、やはりね、どうしたって期待されるのはアクションなわけで。
私なんざ「法廷で暴れだすんじゃないだろうな・・」などとひやひやしたり。
さすがにそこまで無茶はしませんでしたけどね、ドニーといえど。
で、その場合、課題となるのが「みんなが待ってるアクションシーン」までの間、いかに退屈させずに物語を進めていくか、だと思うんですが、これまでの単独ドニー主演作って、そこがあんまりうまくなかった、と思うんですね(イップマンを除く)。
これって香港映画の特性みたいなものなのかもしれませんが、お話そのものが面白かったこと、って私の場合、ほぼない。
ありきたりな刑事ものか、復讐譚(師匠や友人が殺されるパターン)、でなけりゃ武侠映画でお茶を濁してた気がするんです。
いや、違うな、お茶を濁すというよりは、それの何がいけない?と制作側が開き直ってる節がある。
こりゃもうお国柄というか、国民性みたいなものかもしれないなあ、なんて思ったり。
独特のルーズさ、というかね。
で、今回も「検事とはいえ刑事ものの亜流みたいな感じなんでしょ」とタカをくくっていたんですね、私。
なんせドニー本人が監督してるぐらいだから、下手すりゃいつも以上に雑になってる可能性すらあるな・・・なんて(なんせシャクラがあの出来だったしなあ)。
そしたら、だ。
これが想像以上に緻密な脚本で、計画性のある作りだったりしたもんだから、びっくり。
いやいやドニー、やるじゃないか、と。
正直、主人公のキャラクターはね、こんなやついない、と断言できてしまう映画ならではのバカ熱い男だったりしますが、事件の全体像を少しづつ解き明かしていく手管、真実に至るカードの切り方がなかなか上手で、アクションなくても十分鑑賞に堪えうる仕上がりになってたりするんですね。
まさかドニーがここにきて監督として進化しているだなんで露にも思わず。
恐れ入りました、すごいわこの人。
ま、欲を言うなら、自分を、もう少しこだわって撮ってほしかったところなんですけど(前半と後半で微妙に顔が違って見える。メイクのせいなのか照明のせいなのか不明)、現役で主演の役者がここまでやれたら上出来だと思いますね。
大内貴仁が担当したアクションシーンも荒唐無稽になりすぎず、シチュエーションを上手に活かしていてお見事。
香港カンフー映画っぽい伝統的カメラワークながらも、きっちり現代味(POVっぽい一人称視点があったり)を加味してるのが良い感じ。
中盤のバトルシーンの途中で謎の空撮があったのは???って感じでしたけど。
近年のドニー主演作の中では出色の出来じゃないですかね。
ちなみにこの作品、実話ベースらしいんですが、それが作品をいい方向に導いたのかもしれませんね。
しかしドニーももう60歳かあ。
早回ししてる部分もあるんだろうけど、60歳の動きじゃねえな、マジで。
あと何作見れるんだろう、と遠い目になる私だったりします。
ねじレート 85/100
