2024 アイルランド
監督 ロバート・ロレンツ
脚本 マーク・マイケル・マクナリー、テリー・ローン

怒らせてはいけない元〇〇から、初老のくたびれた暗殺者のドラマへとリーアム・ニーソンの役柄もシフト
依頼殺人を生業とする元軍人の初老の男と、爆弾テロリストとの戦いを描いたアクション映画。
・・・とはいえ、リーアム・ニーソン、もう73歳なんで。
70歳超えてアクションとか、世界でもジャッキー・チェンぐらいしかやってない、って話で。
期待する方が間違ってるんであって。
派手なアクションに主軸を置くような無茶ぶりはもちろんないです。
なんとかクリアできそうな最低限の立ち回り、って感じ。
どっちかと言えば今回、リーアム・ニーソンお家芸の『怒らせてはいけない元〇〇』から『元〇〇だけど、〇〇な技術を生かした裏稼業はもう疲れた男のドラマ』へと作劇がシフトしてます。
焦点が当てられてるのは『手を血で汚し続けてきた男の悔悟の念』だったりする。
なのでいつものニーソン印の『普通のじじいだと思ってたら殺人兵器』みたいなカタルシスは全く得られない、と言っていいでしょう。
どっちかというとクリント・イーストウッド晩年の映画とどこか似た感じ。
私は見ててグラントリノ(2008)を思い出しましたね。
ま、監督が人生の特等席(2012)、マークスマン(2021)のロバート・ロレンツですからね、似るのも仕方がないといえば仕方ない。
ぶっちゃけリーアム・ニーソンの役柄をクリント・イーストウッドが演じてても全く違和感ないと思います。
そういう意味ではリーアム・ニーソン、ちょっとした挑戦だったのかもしれません。
彼が演じ続ける『元〇〇』に最近は完全に飽きて、全く近作を追ってなかったんでわからないんですが、思ってたより上手に抑えた演技を披露してたと思いますね。
いや、なんせダークマン(1990)と一連のキレ芸ニーソンしかしらないもんだからさ、彼の演技力とかほんとわかんなくて。
やっと年相応な配役がカチッとはまったか、と思ったり。
ケリー・コンドンが狂信者的な爆弾テロリスト役をヒステリックに演じてたのも効果的だった、と思います。
リーアム・ニーソンとの対比が際立つんですよね。
同様に依頼殺人を請け負う相棒、ジャック・グリーソンとの小さなドラマもよくできてた。
また北アイルランドの風景が美しくてねえ。
総じて見応えのある作品だった、と思いますね。
ただね、このタイプの映画って、イーストウッドが先駆であることは間違いないわけで。
イーストウッドと互換可能じゃあ、ダメだと思うんですよ。
いい映画だったと思います、でもニーソンだからこその渋いじじいの映画にはなってなかったように思いますね、辛いことを言うようですが。
もう動けなくなるまで『元〇〇』映画を撮り続けるのも、それはそれで一つの道だと思いますし、ここを起点に完全にシフトチェンジするのもまた道。
どうするニーソン。
さて、彼はどこへ行くのか、この作品がのちにきっかけとなった一作と言われるようになるやもしれません。
ねじレート 75/100

