2023 香港/中国
監督 ドニー・イェン
原作 金庸
人間を超えた動きがまるでドラゴンボール
武侠小説、天龍八部を底本としたアクション時代劇。
11世紀末宋代の中国大陸が舞台らしいんですが、中国の歴史にまるで詳しくないんで宋と言われたところでなにがどんな風な時代であったのか、さっぱりわからず。
とりあえず漢人がすごく威張ってます。
他民族といつも揉めてるというか、見下してる感じ。
ドニー演じる主人公の喬峯は漢人として生きてきたんですけど、実は契丹人で。
それをたった一通の手紙によって暴かれ、あらぬことか仲間殺害の濡れ衣まできせられて、故郷を追われてしまうんですね。
つい昨日まで名幇主として人望を集めていたんですが、なんの証拠もないのにいきなり掌返しされてしまう始末。
序盤で熱い信頼関係を強調していたにも関わらず、仲間全員が急に喬峯を悪辣な裏切り者扱いしだす展開に、あたしゃ唖然。
いやいや誰か一人ぐらい擁護してやれよ、って。
なんで全員が全員、出どころの怪しい手紙(厳密に言うなら誰が書いたかもわからんわけだ)を鵜呑みにしちゃうの?単細胞すぎんか?と。
言っちゃあ悪いが、こういうところがやっぱり香港カンフー映画クオリティなんだよなあ、と思う次第。
集団からリーダー的存在が放逐される、って相当なことだと思うし、それを現実味確かに描くには、それなりの理由付け、確かな証拠が背景にないと変なわけで。
子どもがスクールカースト低い子をハブってるんじゃねえんだから。
ま、ドニー久々の監督作ですしね、そもそもがそんなの掘り下げる気すらなかったのかもしれませんけどね。
組織を追われた天才武術家の孤独な戦いを演出できればそれで充分だったのかもしれない。
ぶっちゃけ物語は、原作をかいつまんだかのような煩雑さが以降も連続します。
盛り上がりそうでなんか盛り上がらない、とはまさにこのこと。
んー、まあいい、まあいい、過去にはもっとひどい作品もあった、ドニーに高い物語性まで期待するのは酷なのかもしれんし。
やっぱアクションですよ、アクション。
とりあえずアクションで納得させてくれれば。
そしたらだ。
ちょっとね、人間技とは思えない動きが結構多めでね・・・。
あーこれ、アイスマン(2014)の系統やん、と。
ワイヤーアクションをこじらせたユエン・ウーピンとでもいうか。
ていうか、今、かめはめ波出しましたよね?
ここにきてドラゴンボールなのかよ・・・って。
いやね、ド派手ですし、下手すりゃ空を飛びそうな勢いすらあって、こういうのが好きな人は大満足なんでしょうけど、私はVFX使うならカンフーハッスル(2004)がギリなんで。
やりすぎなんですよね、すべてにおいて。
サービス精神豊かというか。
手かざし治療みたいなことまでやりますからね。
サイヤ人でもそこまでやらんわ。
うーん、私がドニーに期待するのはこういうアクションじゃない・・・。
中華版マーベル、武術超人列伝とでも考えて見るのが正解かもしれません。
続編作る気満々のラストが印象的でしたが、もういいかな。
結局私はカンフー・ジャングル(2014)みたいなのをいつまでも期待する、たちの悪いファンなのかもな、と少し思ったりはするんですけどね。
ねじレート 65/100