1976年初出 松本零士
朝日ソノラマサンコミックス 全3巻
今は亡きマンガ少年に連載された作品。
ヒロイックSFにしたかったんだろうなあ、と思うんですが、おなじみの眼鏡で短足のチビが主役ですんでなかなか厳しいものがあり。
少年読者の心をわしづかみ、とはいかなかったようです。
それを途中で作者自身も気づいたのか、ストーリーは中盤ぐらいからブレにブレまくります。
え?何の話だったっけ、と混乱することうけあい。
松本零士は伏線や謎を収束させないまま放置する癖が目立つ漫画家だと思うんですが、本作でもそれは顕著です。
さらに悪いことに、思いつきとしか思えない展開を平気でストーリーにどんどんぶち込んで意味なく攪拌。
とにかくもう少し整理を、と言うのが正直な感想ですね。
助手の有紀蛍も完全に性格が破綻してますしね。
時間とは一体何か、と言う壮大なテーマに相応の答えを出したエンディングはSFファンとしては唸らされるものがありましたし、先祖代々の記憶を受け継ぐ超人と言う設定も決して悪くはないんですが、物語としては成立していないように思います。
導き出された答えはかなりのインパクトがありましたんで、是非リテイクを、と思うのですが、多分それはないんだろうなあ。
70年代SF漫画の金字塔になりえたかもしれない作品。
もったいない、の一言。