1981年初出 手塚治虫
ドン・ドラキュラの人気が低迷したこともあり、再びブラックジャックのようなものを、ということでしょう。
演劇の世界を舞台に、代役専門のアンチヒーローを描いた作品ですが、とりあえずキャラ設定に無理がある、と私は思いました。
いかに天才的とはいえ欠員補充みたいな形の舞台役者にそれほどニーズがあるとは思えないし、ましてや本業は泥棒だなんて、どう考えてもすぐに足がつくだろう、と。
とても生業としてやっていけそうに思えない。
広く演劇の題材となった物語を知ることができたのは収穫だったんですが、やはりどこか二番煎じな感触はつきまといます。
タイトルからしてなんだか冴えない、と思ったりも。
まさか七色仮面のもじりだなんてことはないと思いますが、もう少し何かなかったのか、というのは感じましたね。
きちんと演劇の資料を漁って描かれたのであろう、濃い内容の作品なんですが、どこかボタンを掛け違えてしまった印象を私は受けました。
色々惜しい、というのはあるんですけどね。