イギリス1981
監督 テリー・ギリアム
脚本 テリー・ギリアム、マイケル・パリン
初めて見たとき、こんなファンタジーも存在するのか、と腰を抜かしたのがこの作品。
あらためて見てもやっぱりそのおもしろさは色褪せないなあ、つくづく思う次第。
やっぱりギリアムの凄さ、って別世界をイマジネーション豊かに独自のアイディアで彩る部分にあると思うんです。
誰も見たことのないあらざる世界を形にしてみせる発想の豊かさは、いまだ多くの映像作家の追随を許していないように思います。
本作に限って言うなら、巨人の頭に乗る船であったり、暗黒城の描写でしょうね。
そこに現代社会を皮肉ったかのような強烈な毒をたらす。
コミカルな展開は、毒を際立たせる落差の演出のためであったり、重苦しさを感じさせないための配慮、といったところでしょうか。
まあ、モンティパイソン出身ですから、単に笑わせたい、ってだけなのかもしれませんけど。
実際の演者に小人6人を抜擢する、と言う大胆さもギリアムならでは。
日本のおかしな公序良俗に染まった人たちからは眉をひそめられそうではありますが、監督本人は「身長120センチの世界から見る風景はあらたな発見だった」と後から述べているぐらいで、その感覚の奔放さ、囚われなさにはつくづく感心させられるばかり。
見どころだらけで最後まで飽きさせないのは間違いないですが、やっぱり最大の見せ場は物議を醸したラストシーンでしょうね。
これを見て、かわいそうだ、とか、意味深だとか、ひどいとか、色んな意見が渦巻いたわけですが、私は見終わって爆笑してしまいました。
解き明かすための努力を放棄しているのかもしれませんが、えーいもう全部ふっとばしちゃえ、みたいなギリアムの悪ノリが透けて見えたような気がしたんですね。
コントかよ!と思わずつっこんでしまった。
ちょっと他では見当たらないオリジナリティ溢れた作品だと思います。
ファンタジーといえば、絶対はずせない1本ですね、私にとって。