火を噴く惑星

ソビエト 1962
監督 パヴェル・クルシャントセフ
脚本 パヴェル・クルシャントセフ、アレクサンドル・カザンチェフ

旧ソビエトで初めて宇宙を舞台にして撮られたSF映画。

かのキューブリックが2001年宇宙の旅(1968)を撮影するにあたって参考にした映画、なんて言われてますが、多分キューブリックは「一応見てみた」だけだと思いますね、私は。

とりあえず、2001年~的ななにかをこの映画に期待したりすると手ひどく痛い目を見ることは間違いないです。

なんでしょう、ひどいとかそういうレベルじゃなくてですね、もう完全に前世紀の遺物的な特撮映画なんですよね。

「うんうん、よく頑張ったね」みたいな、生暖かい目で見守ってあげることが大事かと。

制作側はそりゃもう本気で撮ってますから。

トンデモ映画と言いたいところですけど、まだ見ぬ世界を映像化しようと真摯に取り組む姿勢が見てて伝わってきますんでね、安易に冷やかすこともできやしないというね。

なんか国民性が反映されてるなあ、と思いましたね。

つっこみどころが満載すぎて笑うしかないのに、ものすごく真面目に作ってあるものだからとっさの反応に悩むというか。

なんにせよ、決定的な失敗は「金星を舞台にした冒険もの」にしたことに間違いありません。

これが見知らぬ惑星とかだったらまだギリギリ成立したかと思うんですが、いかんせん断定しちゃったものだから取り返しのつかない状態になってて。

みんな知ってるわけですよ、今となっては金星がどんな星か。

秒速100メートルの風が上空を吹き荒れ、硫酸の雨が降り、地表の平均温度は464度にも達する二酸化炭素に覆われた星だって。

劇中の金星、恐竜が跋扈してます。

謎の植物が人を襲います。

海があって、魚が優雅に泳いでたりします。

更にはあろうことか探検隊が海辺で焚き火をしたりします。

宇宙科学、まるっと頭から無視。

1962年がそこまでなにもわかってない時代だったのかどうかはわからないんですけど、それにしたってあまりにファンタジックすぎるだろう、って話で。

どうなんでしょう、禁断の惑星(1956)みたいなことがやりたかったんでしょうかねえ?

ロビーによく似たロボットも出てきますしね。

在りし日の空想冒険奇談として、好事家を喜ばせる以上の価値はないように思いますね。

ま、微笑ましいね、でいいんじゃないでしょうか。

あなたが熱心な特撮ファンなら一度は見てみてもいいかもしれません。

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