アメリカ 2016
監督 ヴィンセント・マシャーレ
脚本 ルーク・バーネット
ホラー映画オタクな主人公が、これまでにない恐怖を味あわせてくれると評判なイベント会社に申し込んで、結果的に「これは嘘か誠か?」とオタオタする話。
まあ、早い話がフィンチャーが手がけたゲーム(1997)です。
ゲームとほぼおなじネタを、舞台と設定を変えて使いまわしているだけ。
さすがにオチはゲームとは違う形で締めくくられてるんですけどね、これがもーとってつけたようなというか、無理矢理というか。
アイディアがないのなら背伸びするんじゃない、っていいたくなるお粗末さで。
とにかく最大の難点は、現実なのか、それとも虚構なのか、とっさに判断し難いスリルをまるで演出できてないことでしょうね。
やはりね、物語の冒頭でイベント会社の存在をあからさまにしてますんでね、見る側は「ああ、仕掛けられてるんだろうな」って普通に考えるわけです。
そんな安易な予断を覆す趣向があってこその恐怖なのに、意味なく有名なホラー映画のうんちくにこだわってみたり、安っぽいおどかしに終始するばかりだったりで、緊張感ってものがまるでない。
「これはフィンチャーのゲームなんだろ?」と主人公は言及したりもしてるんですけどね、終わってみればほんとにそのままだったあたり、予防線の貼り方も制作陣は知らないのか、と言いたくなる有様で。
また主人公の男性がどこまでも共感できない逆玉のヒモ野郎でして。
お前なんざ、騙されてのたうち回ろうがくたばろうがどうでもいい、と思えてしまうのがまったくもって致命的。
なぜこんなキャラなの?と脳内は疑問符でいっぱい。
イベント会社の存在を、現実に即してもっともらしく成立させるための工夫も皆無。
一体どこの誰がここまでのリスクを犯して集団でドッキリ仕掛けようと思うんだよ、と呆れるやら脱力するやら。
いやー、こりゃほんとダメだ、と久々に全否定できる映画に遭遇した気分ですね。
下手ではないんですけどね、怖いってどういうことなのか、監督を含め制作陣の誰ひとりとしてわかってない、と思えた一作でしたね。
パッケージの煽り文句に騙されました。
みなさんはご覧になられませんように。
これ以上被害者が増えないことを祈って拙文をしたためた次第でございます。
なんかもう真面目に批判する気も起きないですね。
まさかこれをオマージュとか言い放つ気じゃねえだろうな。