アメリカ 1993
監督 ウォルフガング・ペーターゼン
脚本 ジェフ・マクガイア
まあ、可もなく不可もなく無難なラインでまとめた、ってな感じでしょうか。
イーストウッド演じる老いたシークレット・サービスが、ケネディ大統領を守れなかった自責の念から、現場の若い連中に疎ましがられながらも自分の「勘」を頼りに現場復帰、大統領暗殺を予告するテロリストと対決する、という内容なんですが、人物像の描き方がいささか類型的、というのがまずあって。
一時は酒で身を持ち崩し、嫁と子供に愛想つかされて出て行かれてしまった型破りな捜査官、って、この手の映画においてこれまで何十人居たんだ、という。
そこは93年とはいえ、もうたくさん心当たりがありすぎて具体的には誰とはいえないほどキャラがかぶりまくってるのは間違いないですよね。
還暦迎えてるのに若い女性捜査官に対して粉かけたりするプレイボーイでもある、というのがまたどうにもこうにも。
見てる側に、いいからイーストウッド無理しないで・・と気をつかわせてどうする、と。
ジョン・マルコビッチ演じるテロリストも大それた凶行にいたる人物として掘り下げ方が足りない。
その狂気の根源が見えてこないんですよね。
シナリオ展開にしたって、せっかくお互いが序盤から電話で丁々発止のやり取りをするという設定なのに、肝心の駆け引きが工夫に乏しいように感じられましたし。
この内容で128分はやっぱり長い。
もっとテンポよく、緊張感を失わないやり方はあったように思うんです。
そこはペーターゼン監督にしちゃあ、締まりがなかった。
いかにもな大味のハリウッド映画、って感じで。
ただ、それでもですね、なんとなく最後まで退屈せずに見れてしまうのは、やっぱり役者の力量による部分が大きかったから、と言えなくはないかもしれません。
なんだかんだいってイーストウッドとマルコビッチのスター映画、と割り切るならね、まあそれほど悪くはないんじゃない?と思えてくるから不思議。
やっぱりね、老いてなお渋いですよイーストウッドは。
立ち居振る舞いに色気があるし、存在感も頭抜けてる。
老骨に鞭打って大統領の盾になるシーンなんて心を鷲摑みにされるものがありましたし。
決して大傑作、と言える作品ではないように思いますが、映画の看板俳優の魅力が全てを救った一作、と納得できれば充分楽しめるかもしれません。