アメリカ 1998
監督 ジョエル・コーエン
脚本 コーエン兄弟

もう本当にばかばかしくて腹を抱えた。
元々この手の「ちょっと壊れ気味な人たちのドタバタ劇」が大好きで仕方ない、というのもありますが、過剰にやりすぎず、それでいてサービス精神満点なコーエン兄弟の匙加減のうまさに酔わされたのは間違いないですね。
やっぱりこう言う作品って、えてしてコントになりがちだと思うんですよ。
瞬間最大風速を競って面より点、全体よりも部分みたいな。
そこを彼らは適当にやっつけたりはしないんです。
きちんとサスペンス風味のシナリオが物語の核にあって、謎解きもストーリーを楽しむ一環として機能してる。
その上での小ネタ満載なんですね。
だから悪ふざけにも変な現実味がある。
作り込みの丁寧さが単に「安いお笑い」で終わらせまいとする矜持として伝わってくる。
登場人物の多彩な性格付けもお見事の一言。
ジェフ・ブリッジスの異様な役柄へのはまり具合、ジュリアン・ムーアのおかしなキャラも爆笑なんですが、極めつけはなんといってもジョン・グッドマンのキレキャラでしょうね。
なにぶんバートン・フィンクのイメージが強かったものですから、最初は彼がジョン・グッドマンだとわからなかったぐらい。
こういうこともやれてしまうんだという驚き、またグッドマンにこういう役を振るコーエン兄弟のセンスにも脱帽。
あ、そうそう、ジョン・タトゥーロの変態キャラも忘れちゃならない。
突然メタな展開になるエンディングにやや不満を覚える人もいるかもしれませんが、ここまで盛りだくさんにスベリ知らずだとラストがどうだろうとそんなに気にならないんじゃないか、と私は思います。
満腹。
どことなくメル・ブルックスの作品を見てるような印象もありましたね。
あ、それは骨壷の灰のせいか。
おすすめの1本ですね。