ローティーンブルース

1974年初版 望月あきら
秋田書店チャンピオンコミックス 1~3巻(全8巻)

作者の隠れた傑作として名高いシリーズ。

望月あきらといえばテレビドラマ化もされたゆうひが丘の総理大臣(1977~)が有名ですが、連載当時、何かと物議を醸し、漫画好きの間で話題になったのは本作の方でしょうね。

リアルタイムで影響を受けるには、私自身が幼すぎたので「なんだか騒がれてるみたい・・・」という記憶しか残ってないんですけど、今回改めて手にとってみて、確かにこれは「・・いいのか?少年誌で?」ってなるわなあ、とつくづく納得。

物語の序盤は完全に学園コメディ路線なんですけどね、計画的なものなのか、それとも突発的なものなのか、ストーリーはどんどんシリアスに、主人公の中学生と、新たに赴任してきた女教師との禁断の恋を描く方向へとシフトしていきます。

で、この作品の設定がすごかったのは、女教師が「主人公の父親の妾」でもあったこと、でしょうね。

さらにはそこへ、主人公の産みの母は別人らしい、とか、巨大企業の社長である父親に対する主人公の反骨だとか、あれこれややこしい感情のもつれを、大きな波紋として作者は投げ込んできてまして。

それでいてヒロインはちゃんと別にいるんですね。

同級生の女の子なんですけど(どう考えても太刀打ちできそうにない)。

なんだこのインモラルかつ、とてつもなく面倒な三角関係は?!ってなものですよ。

一昔前の韓流ドラマか!と。

大人の女性に対する少年の淡い憧れを描いてる、ってレベルじゃないんですね。

本気でドロドロですから。

こんなの子供が読んでついていけるはずがないだろうが、って話で。

やろうとしてることは愛と誠(1973~)にも近いかと思うんですが、世の奥様方に受けそうな要素が満載であることが、この作品を異質な少年漫画にしているように思います。

少年漫画のノリを損なわないまま、レディースコミック的なシナリオを本気で編んでるんですよね。

また、作者が少女誌でデビューしたことが幸いしてか、女性キャラの描き方や細やかな心の機微を演出することにやたら長けててですね。

いやはや70年代。

なんだかもうあまりにハイブリッドでクラクラした。

3巻で頓挫しました。

さて、ヒロインのその子ちゃんは、最後には幸せになれたのか?

知っているのは当時の少年読者ではなく、子供の漫画をこっそり読んでた大人たちだったのでは?という気がしますね。

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