フィリピン 2018
監督、脚本 リチャード・V・サムズ
女性を主人公に据えたヒロイック・アクション。
はっきり言ってストーリーはあってないようなもの。
大金が稼げるから、とそそのかされて怪しげな倉庫に出かけたら、犯罪に加担するよう強いられ、そりゃ無理だ、と断ったら、襲われました、以上。
「なんで初対面の人間に組織犯罪の核心たる部分をいきなり見せつけちゃうかな、このボスは?バカなのか??」といったツッコミもむなしくなるぐらいシナリオは一本道です。
普通はね、協力を拒否されました→帰すわけにいかない→乱闘→なんとか逃げ切る→街中に捜索の手が伸びる→さあどうする?みたいな感じでストーリーを進めていくのがセオリーかと思うんですよ。
協力を拒否→延々追いかけられて死闘、で最後まで突っ走る映画なんて見た記憶がない。
学生の自主制作レベルですね、脚本だけに注目するなら。
いくら細腕のお姉さんが男相手に大立ち回りを演じていようとも、盛り上がりようがないわけです、さすがに。
単に女性のファイトが見たいのならRAIZINか、UFCでも録画しとくわ!って話で。
また格闘シーンの撮り方があんまり上手じゃなくてね。
元々私は細かいカットをスピーディーにつなぎ合わせた編集が嫌いで、香港カンフー映画的な連続性を阻害しない撮り方が好みなんですが、アクション映画なのにも関わらず、そのどっちとも言えない、ときた。
前半と後半でカメラワークがなんだか違うような?
これは計画性とか恣意とかじゃなくて、単に定まってないだけだと思うんです。
もう、どうしろというんだ、と。
見始めて1時間で早くもグッタリしだす私。
ま、役者さんは熱演でしたんで。
スタッフが稚拙でも、生々しい痛みや熱さが伝わってこなかったわけじゃない。
積み重ねが最後には沸点に達していた、と認めてやれないこともない。
けどこれを「面白かった」とは到底言えないですね、やっぱり。
昔見たメトロマニラ/世界で最も危険な街(2013)とか、良く出来てる、と思った記憶があるんで、フィリピン映画もレベルが上ってきたのかな、と思ってたんですが、どうやら買いかぶり過ぎだったようです。
つーか、今調べてみたらメトロマニア、イギリス人監督じゃねえかよ。
おそらく、チョコレート・ファイター(2008)みたいにしたかったんじゃないかな?と思うんですけど、残念ながら全く届いてないですね。
「この夜を生き抜け! 血みどろの闘う女神、降臨。不屈のスタントウーマンがマニラの夜を駆け巡る、壮絶バイオレンス・アクション! !」の宣伝文句に騙されました。
タイや香港はやっぱり長じてるなあ、と実感した次第。
なんか疲れましたね、ほんと。