1967年初出 手塚治虫
漫画サンデーに掲載された青年向きの作品。
「第三の性」をもつ人間を産み出すことの出来る主人公、太平の精子に着目した黒主は、太平を拘束して独立国家設立やら戦争ショーやらに本人を無理矢理巻き込むが、やがて反乱がおこり・・というストーリーの、とにかくデタラメでナンセンスなドタバタ活劇。
先生らしからぬ乾いた絵柄でスラップスティックな味つけが新鮮な一作ですね。
なぜかエンディングは妙にしんみりしてます。
ただそれがいまいち胸に迫ってこない、というのはありますね。
「第三の性」を持つ人間の精神構造がいったいどうなってるのか、いまひとつわかりにくいのがその原因かと思います。
というか「第三の性」の人間とは突き詰めるところどういうものであるのか、きちんとしたルール作りを先生はやってない。
なので単にばかばかしくて笑えはするんですが、スケールの大きさに喝采を送るほどの満足感は得にくいです。
先生にとってこの画風、作風は挑戦でもあったと思うんですが、もう少し設定をきちんとしていただきたかった、というのはありますね。
アイディアはおもしろかったように思うので、ちょっと残念。