アメリカ 2013
監督 アルフォンソ・キュアロン
脚本 アルフォンソ・キュアロン、ホナス・キュアロン
あちこちで言われてますがもうね、映像は凄いんです。
地球を周回するスペースシャトルが舞台となる作品なんですが、ここまで宇宙空間の絶対温度3Kな虚無の質感をリアルに表現できた映画はこれまでなかったのでは、と思えるほど。
科学考証がデタラメ、とのつっこみもありますが、それは私、別にいいと思ってます。
疑似科学だろうが魔法だろうがもっともらしく納得させてくれりゃあかまわないんです。
エンターティメントなんですから。
責められるべきは作品の成り立ちに矛盾があったり、破綻があった場合だけでいいと思うんです。
映像だけでここまでスリルを味あわせてくれる作品、ってそうないと思いますし。
ただですね、本作、映像の素晴らしさとは裏腹に、あまりにシナリオ、単純です。
というか、これは物語なのか?と思う部分も無きにしも非ず。
実際にあった事故を恐ろしく手間隙かけて再現ビデオ化してみました、といわれた方が納得してしまいそう、というか。
見終わって思ったのは、ああ良かったね、ドキドキしたよ・・・・・・で?・・・・・でした。
質の高さは疑うべきもありませんが、賛否は分かれるだろうなあ、と思います。
結局、SFだと思って見てはだめ、という事なのかもしれません。
見たこともないものを想像する、日常の枠を飛び越えた新たな価値観を提示するのがSFだとしたら、本作は、我々の想像の及ぶ範囲での、意外な場所でのアクシデントを、こういうこともおこり得るわけです、と「驚きのトラブル動画風」に見せてくれただけなのかもしれません。
それが映画作品としてどうなのか、明確な答えは導き出せませんね、ここまでやられちゃうと。
退屈はしない、と言う意味で、これはこれでいいのかもしれません。