アメリカ 2013
監督 マイク・フラナガン
脚本 マイク・フラナガン、ジェフ・ハワード
呪われた鏡が所持者を狂わせ死に至らしめる、なんてプロット自体がありふれた手垢であることは間違いないと思うんです。
今時そんなネタでどうやってホラーファンを怖がらせるつもりなのか、と見る前から警戒していたのは確かなんですが、これが意外や意外、監督は思いのほかがんばった。
うまかったのは現在と過去を交互に描写し、同時に二つの物語を進行させたことですね。
双方のストーリーを追うことで、物語全体の謎、最終的な着地点が見えてくるという仕組み。
徐々にピースが埋まっていく快感、それによって増幅される恐怖の演出はなかなかなものがあったように思います。
特に鏡の悪意を科学的に計測し、封じ込め、実証ののち破壊する、というヒロイン、ケイリーの計略はホラーにロジックを持ち込もうとするおもしろさがあって、実に興味深かった。
残念だったのは、怨霊鏡を検証するいとまもなく、あれこれ翻弄され、全部破綻しちゃったこと。
ここは最後まで踏ん張って「呪い」と「知力」の勝負を限界まで描写して欲しかった。
それでこそ前半の狂気漂う展開も生きる、と思うんです。
エンディングもいささか消化不良。
過去と現在が完全にシンクロする衝撃のラストシーンをみせつけてほしかったですよね、そういう前フリだったんだから。
これではせっかくの凝った構成が水の泡。
いいところまで迫った、とは思うんですが、あと一歩届かず、って感じですね。
次作に期待。
ともあれ、古びた題材ですら新鮮に料理する手腕はあるように思います。
まだ充分のびしろはある監督、という印象を受けました。