1961年初出 手塚治虫
異次元をくぐり抜けたことが原因で時間を止める能力を持った少年、サブタンの冒険を描いた物語。
テレビドラマ化され「時間よ、止まれ」のセリフが流行したらしいんですが、全く知りません。
年配の方はご記憶されてるんでしょうか。
ただ個人的には、そうしたヒットの背景とは裏腹に、あまりに荒唐無稽すぎて設定そのものに無理があるでしょう、とどうしても思えてしまうんですね。
まず、時間を止める、という能力自体があまりに絶対的すぎて、ここに悪者の手が伸びる余地なんてないと思うわけです。
敵が立脚する隙がない。
そもそもサブタンが苦闘しているシーン自体が矛盾だらけなんです。
なぜ「時間止めてさっさとかたずけないのか」と毎回首をひねってしまう。
それを悟ってか物語後半では命にかかわるようなピンチじゃないと時間を止めてはいけない、と四次元人に規制されるんですが、そうなったらそうなったで今度は四次元人の存在自体が、いったい何者なの?と思えてくる。
時間を操るような超絶の存在が、なぜ三次元であるこの世界に干渉してくるのか、そもそもサブタンに能力を許しているのは何故か、と新たな疑問が次から次へとわいてくる。
元々は辻真先氏の企画で依頼されての作画だったようですが、色々ゆるい内容の作品だと思います。
当時の思いいれのある人向け、でしょうね。