アメリカ 2017
監督 ジェフリー・ナックマノフ
脚本 チャド・セント・ジョン

家族のために、禁断のクローン技術に手を染めてしまう天才科学者を描いたSF。
とりあえず、クローンとか人間の意識を機械の義体に移すとか、物語の骨子たるプロットが恐ろしくありきたりなのは間違いないですね。
なにかこれまでと違う切り口があるんならまだ見れるんですが、なんの新解釈もないときた。
だからいくら脳の働きが電気信号だからってね、記憶を移植すれば複製が再生可能か?っていうと絶対そんなことはないわけで。
人格をどう別の器に移し替えるのか、意識の連続性をどう可能にするのか、それについて言及してくれないと所詮はSFモドキでしかない。
しかも義体に死者を再生させるのが目的だったはずが、いつのまにかクローンそのものの話になって、挙げ句には、クローンも義体も同じ理屈だったんだ!みたいな話に落ち着いちゃってる。
上手にハッタリをきかせることもできない疑似科学なんて、はっきりいって安っぽいファンタジー以下。
もうね、退屈で退屈で。
シナリオ進行もすべてが予想どおりでしたしね。
多分、軍とか絡んでくるんだろうなあ、と思ってたら案の定そのとおりでしたし。
また、キアヌが冴えなくて。
狂気の天才科学者にあえてキアヌをキャスティングしたんなら、その理由をそれらしく演出せんかい!と。
全然キアヌである必要ないんですよ。
なんでわざわざこんなにダサいキアヌを長々と拝まなきゃならんのだ、と。
根本的な部分で主人公のキャラクター像が定まってないんですよね。
いかにも低予算なCGの出来もいただけない。
胡散臭さがただひたすら加速していくだけ。
ま、少しばかりひねりを加えたオチが、わずかながら凡庸さに一矢報いてましたが、それもねえ、ハッピーエンドへ誘導されたことで結局差し引きゼロ。
だってどう考えても幸せになるはずがない筋立てですしね。
都合よく我田引水にもほどがあるだろうと。
そりゃ興行成績惨敗するわ、と納得の一作ですね。
誰一人としてこの企画を止めずに公開にまで至ってしまった、ってのが不思議でならん。
今、再び脚光を浴びてるキアヌの主演作だからなにかあるのかな?と思って見たんですが、あまりになにもかもが千鳥足すぎて泥酔してるのか?と思いましたね。
SF好きなんで、悪くはないよ、ぐらいのことは言いたいんですが、さすがにこれは擁護できん。
残念。