日本 2018
監督 佐藤信介
原作 奥浩哉

どうした佐藤信介?の一言ですね。
ま、原作がそれほどよく出来てるわけでもない、ってのもあるかとは思いますが、同じく原作付きのアイアムアヒーロー(2015)をあれほど手際よく料理してのけた腕前はどこへ行った?ってのが正直なところ。
あたかも三池崇史の職業監督ぶり、やっつけ仕事ぶりを見ているかのような。
木梨憲武のキャスティングがなにか影響してるのかもしれませんが、それにしたってこの「あらすじだけをかいつまんで追ってみました」みたいな雑な作りはいかがしたものかと。
そりゃね、難しいとは思います。
なんせ宇宙人の手によって機械の体にされてしまったオッサンの話ですから。
いつの時代のSFなんだよ!と思いますし、そんなのに信憑性をもたせようとする事自体がファンタジーのレベルで「火星にはタコ型宇宙人が文化圏を築いていた!」みたいな荒唐無稽とほぼ同義だ。
これを今、無理なく映画にできるのはマーベルスタジオしか世界には存在しねえんじゃねえか?とすら思う。
でもね、突き詰めるならこの物語の根底にあるテーマは、誰からも顧みられることのない中年男性が超常の力を得たことによって、何を変えたのか?だと思うんです。
そこに初期設定の幼稚さはあんまり関係ない。
なので家族との関係性をじっくり掘り下げて描くことで、中年スーパーマンたる主人公の嘘くささ、胡散臭さは相応に覆い隠せたはずなんですよね。
うまくやれば感動の家族ドラマとしての着地点が最後に待っていたかもしれない。
そのあたりが何故か作中では思いっきりないがしろにされてるんですよね。
そもそもどうして主人公はそこまで娘や嫁に嫌われているのか?がまずはっきりしない。
全部記号なんですよね。
年頃の娘に嫌われる父という記号、倦怠を漂わせる熟年夫婦という記号、くたびれたサラリーマンという記号。
でも本人、実はいい人なんだ・・って、昭和の安っぽいテレビドラマかよって話で。
70年代に大ヒットした古谷三敏の漫画「ダメおやじ」を私はなんとなく思い出したりもしたんですが、そんなの思い出させてどうするんだよ!って、一人画面に向かってつっこんだりもした昨日の夜中だ。
ひょっとしてダメおやじに、およそ40年の時を経て「救い」をもたらしたかったとか?
そんなわきゃないね、うん。
また佐藤健のサイコパスぶりも描き方がおそろしく単純でね。
あの程度のことで調子乗っちゃうなんて、どこまで考えなしでノーブレーキなんだよ、と辟易。
なんの禁忌も抱えてないんですよね、パーソナリティに。
もう最初から壊れてるじゃねえかよ、と脱力。
終盤の戦闘シーンは、日本のVFXもレベルがあがったなあ・・としみじみさせるものでしたが、ぶっちゃけそこ以外で評価できるものは全くなかったですね。
うーん、仕事を選びましょう、と言うべきなのか、この程度のもの、と見限るべきなのか・・。
佐藤信介には期待していただけに残念。