1984年初出 板橋しゅうほう
双葉社アクションコミックス 全3巻
元軍人で、肉体をサイボーグ化された主人公ギャモンとその仲間たちの、一攫千金を夢見る冒険の日々を描いたSFアクション。
一応、ギャモンはトレジャーヒッター稼業、という設定になってまして。
インディ・ジョーンズやトゥームレイダーを想像してもらうとちょうどいいかも。
それらの未来版、と考えると作品の概要がつかみやすいかと思います。
特に言及されているわけではないんですが、どうも舞台は宇宙時代を迎えた地球っぽい。
見知らぬ惑星の古代からそびえ立つ神殿に、危険も顧みず宝を求めて突入していったり、探偵まがいの依頼に振り回されたりと、基本一話完結形式で連作という形。
前作アイ・シティ(1983)に比べて肩の力が抜けたような印象がありますね。
ガチガチにシナリオを構築して最後に伏線を回収、ラストであっと言わせるパターンではなく、毎回のアイディア勝負みたいな。
なのでどこかコメディっぽい質感を擁する回があったり、ナンセンスSFみたいなオチでクスリとさせられる回があったりと、シリーズの色合いは多彩です。
かといって「らしくない」のか?というと、全くそんなことはなくて。
作者らしいSFテイスト豊かな奇想や、緻密なストーリーテリング、独特なガジェットは随所に散りばめられていて、唸らされること間違いなし。
第4話「預言者ネクロマン」や6話「ライク・ア・ファイア」なんて独立した一編として十分通用するのでは?!と思える完成度ですし、8話「トレジャー・ヒッティング・ブルース」なんて映画にすらできそうな、過ぎ去りし日の郷愁が苦く胸を打つ。
連載するにあたって、かなり自由にやらせてもらったんじゃないかな?という気がするんですが、それがいい方向に働いてる気がしますね。
実際のところ、がさつな言い方をするならね、これってサイボーグ探偵もの、と考えてもあまり問題ないように思うんですよ。
で、その手のプロットって、当時ですらそれほど目新しくなかった、と思うんです。
そもそも私自身が、あまり期待はしてないけど、板橋しゅうほうだから読んでみるか・・・みたいな感じだった。
それを内容の濃さで全部ひっくり返してくるんだから本当に大したもの。
唯一残念だったのは、3巻から急に暗い展開が目立つようになってきたこと。
身内とのいざこざで15話から最終話までを費やしてるんですけど、これねー、シンプルに読んでて気分が高揚しないんですよね。
さくっ、と1話で終わらせて、再び冒険の日々を描いてほしかったんですが、なぜだか妙にだらだらひっぱる。
一話完結で進めていくことに限界がきたのかもしれません。
そりゃ、こんなに濃いネタを毎月毎月ひねり出すのは大変だろうしなあ、と思ったりもする。
1巻、2巻はおすすめなんですけどね、個人的には3巻でなんだか調子をくずしちゃった、みたいな感触を抱きましたね。
ただ、作者の「陽」の面が顕著な作品ではあると思うんで、ファンなら色んな発見があるんじゃないか?と思ったりもします。
意外と初期の作風が好きな人にはウケがいいかも。