2017年初出 アンドーミチタカ
徳間書店リュウコミックス 1巻(全2巻)

なんてバカな漫画なんだろう、と軽く感動しそうになりましたね、私は。
今どきここまで真正面からドタバタギャグをやる、ってなかなか珍しいと思うんですよ。
私の認識では長尾謙一郎以降、新しいギャグ漫画って登場してなくて、新人が出てきてもギャグじゃなくコメディだったように思うんです。
笑いにのみ特化し、新しいギャグの地平を切り開こうと奮闘した漫画家はほとんど居なかったんじゃないか、と。
たまに見かけてもまるで笑えなかったり、単に焼き直しだったり、恐ろしくニッチだったりとかね。
いや、本作が焼き直しでもニッチでもなく、これこそ新時代を告げるギャグ漫画界の黒船だ!とか言うつもりは全くないんですけどね、なんだろ、斜に構えず本気でギャグ漫画をやろうとしてる姿勢にひどくシンパシーを感じるというかね。
ぶっちゃけ幼稚な内容のホラーギャグだし、とんでもないスベりかたしてるなあ、と思う部分も多々あるんですけどね、醸す空気感が、どこかギャグ漫画全盛の80年代の頃のように思えて仕方なくて。
そこはあえてレトロな路線を狙ってるのかもしれませんけどね。
しかしまあ、くだらない。
このくだらなさを相当時間かかってそうな線のこまかい作画でやる、ってのがまた本気度高くてクラクラしてくる。
楳図かずお+漫画太郎じゃん!って言う人も居るかとは思うんですが、 こんな路線で毎回24ページ連載すること自体が半端なく図太いし、ネジ飛んでると私は思います。
この先、どうするんだろうなあ、この人。
大好きな漫画、ってわけじゃないんですけどね、なんだか放っておけない一作ですね。
不器用で要領の悪い我が子を見守る母親のような気分にさせられましたよ。
なんだそれ。
あと、余計なことだけど主人公は派遣社員じゃなくて、あちこち地方に飛ばされまくる転勤族にでもした方がもっともらしかったように思います。
うん、ほんと余計な話だ。