マリアンヌ

アメリカ 2016
監督 ロバート・ゼメキス
脚本 スティーブン・ナイト

マリアンヌ

第二次世界大戦下のカサブランカで、ナチスドイツ相手に諜報活動につく、一組の男女の工作員を描いたサスペンスフルなラブストーリー。

実にそつなく出来てる、というのを視聴後にまず感じましたね。

スティーブン・ナイトが手掛けただけはあって脚本はしっかりしてるし、大御所ゼメキス監督の仕切りも申し分ない。

隙なし、アラなし、矛盾なしで抜群の安定感なのは間違いない。

お互いの腹を探り合う前半から、共に死地を越えて愛を育む中盤、そして疑惑と猜疑に満ちた終盤を経て、衝撃のエンディングへと、124分があっという間でしたね。

物語を大きく2つに分けるなら、前半のカサブランカ編と後半のロンドン編、ということになるんでしょうが、双方ともにきちんとスリルや激情を喚起する見せ場が用意されてるのにも感心。

全くダレない、というは特筆に値するかも、と思ったりもします。

軽く凡百をさしおいて高い完成度にあることは疑いようもないでしょう。

いい映画だった、で、もう締めくくってもいいんじゃないか、と正直思うんです。

ほんとこれにケチつけてちゃ単に嫌味なだけ、ともとられかねない。

けれど、だ。

一流の仕事であることを確信しておきながら、何故かしらねど見終わってみて、今ひとつ心に響いてこないと感じる自分がいて、一体どういうことなんだろう?とついつい考え込んでしまったりするわけですね、私という人間は。

えー、もうここからは余談だと思って読んでもらってもいいんですけど。

やっぱりね、主演のブラピが53歳、パートナーのマリオン・コティヤールが41歳で新婚夫婦の役って、どう考えても無理があると思うんですよ。

もちろんそうは見えないよう、工夫はされてます。

でもみんな知ってるわけですよ、それこそブラピの私生活でのスキャンダルからこれまでの出演作までなにもかも。

そこはほら、スター俳優だから。

先入観を捨てて見るのにも限界がある、と私は思うんですね。

なぜブラピじゃなきゃならなかったのか、と。

それがやはり私にはどうにもひっかかって。

あと、マリオン演じるマリアンヌの「謎めいた女としての人物像」をどう描くか、という点が少し掘り下げ不足なように私には感じられた。

これ演技の問題なのか、演出の問題なのか、ちょっと判別つかないんですが「謎めいた女」というより「何も考えてない女」に私は見えちゃったんですよね。

だからあれほどの劇的なエンディングがずっしりと心に爪痕を残さない。

女を描けてない、ってことなのかもなあ、とちょっと思ったり。

重箱の隅をつついてるだけかもしれません。

前述したように出来の良さは疑いようもないですし。

結局、そつがなさすぎて、ないものねだりな状態になってるのかもしれません、私は。

ちょっとクラシックな雰囲気もあって、広い層が満足できる作品なのは確かなんですけどね。

きっと、ロジックの外側で私はピンときてないんだと思います。

ああ、こういう作品が一番評するのに困る。

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