オードリー・ローズ

アメリカ 1977
監督 ロバート・ワイズ
原作&脚本 フランク・デ・フェリッタ

リインカネーション(輪廻転生)を題材とした作品。

事故死した娘の生まれ変わりがあなた達の娘だ、と迫る壮年男性と、それを決して認めようとしない主人公一家の諍いが主に描かれてるんですが、まあ、さすがに今となってはテーマが古びて感じられる、というのはどうしたってありますね。

根底にあるのは科学を絶対的に信奉する常識人と、科学だけではすべてを割り切れないとする神秘主義者のイデオロギー対決にあって。

いかにも70年代的といいますか。

どちらか一方に盲従する姿勢こそが茶番だ、というのが偽らざる現代的感覚なのでは、と私は思ったりします。

なので今ひとつのめり込めない、のれない、ってのはどうしたってある。

物語そのものは、安っぽいホラーに堕すことなく、じっくりと丁寧に組み立てられてます。

そこはさすがに名匠ロバート・ワイズですんで、人間ドラマ風な趣すら感じさせる。

事故死した娘がふいにその人格を表出させて取り乱すシーンの演出なんて、今見てもなかなかのもの。

また、転生ネタが裁判沙汰になって、やがて当事者の催眠実験にまで及ぶ展開も、落とし所が予想できなくて、この手の映画にしちゃあ大人の目線を意識した作りになってるように思えました。

ちょっと収まりが悪いな、と感じられたのは、転生した少女がなぜ放置すると死に至るのか、その理由付けが明確でないことと、中途半端にインドにかぶれる西洋人の精神世界偏重が前面にでてたこと。

それがエンディングに悪影響を及ぼしてたのは間違いないですね。

せっかくのドラマをこんな風にオチつけてちゃ台無しだろう、と私は少なからず思った。

上述したように、最初からのれてない、というのはもちろんあったんですけど、それでもきちんと見せ場を作っていく監督の確かな手腕に退屈はしなかったんですよね。

それをすべてご破算にしてくれたわ、このラストは、と正直脱力。

時代性でしょうね。

過ぎゆく年月の風雪にさらされて、当時の意欲的なアプローチも物置のガラクタと化してしまった、といったところでしょうか。

2017年に見るべき映画じゃないですね。

若かりし日のアンソニー・ホプキンスの熱演を見れたことが収穫といえば収穫ですが、マニア以外におすすめできるものじゃないです。

余談ですが少女役のスーザン・スウィフトが大根役者気味で結構辛いです。

監督はあの手この手でそれをフォローしようとしてて感心させられます。

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