アメリカ 1973
監督 テッド・ポスト
原案 ジョン・ミリアス
世間ではあんまり評価の高くない第2作目なわけですが、リアルタイムで見てないせいもあってか、別にそれほど悪くもない、というのが正直な感想。
今回ハリー・キャラハン刑事が追う容疑者は同僚の白バイ警官。
いわゆる、法でさばけぬ悪を自らの手でもって天誅下します、という独善的な正義の執行者と対立するわけですが、まあ、今となってはよくあるパターンというか、使い古されたプロットではあります。
最初にこの手のカルト思想な武闘派集団をテーマとした作品がなんだったのかはよく知らないんですが、73年という時代を鑑みるならわりと早かった方なんじゃないか?と思いますね。
はみ出し刑事でアウトローなハリーをそんな連中にぶつける、という発想もいい。
いつも上司と対立しているハリーは、どっちかというと反体制側だと思うんですね。
俺たちだけの正義を執行しよう、もはや警察組織に本当の悪を検挙する力はない、と言われれば主人公の性格的になびいちゃいそうな感じもあるんですが、そこは決して同調しないわけです、ハリー。
俺はお前たちとは違う、と明確に一線を引くわけですな。
そこになにが浮き彫りになってるのか、というとアンチヒーローなりの美学に他なりません。
法規を無視して横紙破りな捜査を展開する男ではあっても、人殺しを肯定する気はない、としたところにハリーの正義であり、もろもろの生き辛さが垣間見えてくる。
突き詰めるならイーストウッドが西部劇時代にやってたこととハリーの人物像の根幹は変わらないんですけどね、やっぱりかっこいいですよね、ブレないがゆえの孤高が。
定番といえば定番なんですが、イーストウッド演じるハリーだからこそ許される、というのは確実にあると思います。
前作を上回る興収を記録した、というのも納得ですね。
もうちょっとメリハリのあるアクションシーンが撮れなかったものか?と少し思ったりもしますが、総じてシリーズのファンを裏切らない一作なのではないでしょうか。