アメリカ 1999
監督 サム・ライミ
原作 マイケル・シャーラ

あのサム・ライミがこんな映画を撮ってしまうのか、と驚かされた一本。
ハリウッドで映画監督を続けるって本当に大変なんだなあ、と同情したりもしたわけですが、およそ畑違いと思われるジャンルにおいてさえこれだけのものを仕上げてくる辣腕ぶりにちょっと感心したりも。
まあ、はっきりいって予定調和ですし、 絶対こんなことありえない、と思いますし、そんなにうまく行くはずがない、と断言できる、大人の御伽噺的な安い感動路線なわけですが、それをガチガチのリアリズムで固める手筈は臨場感につながっていたように思います。
なんせ実際に大リーグで活躍する審判や選手がそのまま役者として登場してますし。
そのプレイに違和感のあろうはずもない。
引退するのか、しないのかの判断を迫られるゲームの最中に、回想する形で主人公を取り巻くこれまでの野球人生と恋愛事情をプレイバックしてみせたのもうまかった、と思います。
間違いなくファンタジックなんですが、連続性を損なわぬ構成が巧みなものだからついつい引き込まれてしまうんですね。
40歳を迎え、昔のように投げられない名ピッチャーの悲哀は少なくとも充分に伝わってきた。
そこに共感しちゃうとダメかもしれませんね。
いやいや、これはないって、と思いつつも、ああ、がんばって、あと少しだから、あと少しがんばればゲームセットだから、きっと彼女も待っててくれるはず!と思わず前のめりになってる自分が居たりする。
恐るべしハリウッドマジック。
とりあえず138分の長丁場をまるで感じさせなかったことだけは評価すべきかと。
うーん、中高年のみなさんはやられちゃうかもしれませんね。
なんかずるいな、と思ったりもしましたね。
これをダメとはいえないですよ、やはり。