1962年初出 平田弘史
青林工藝舎
某団体の抗議により、42年もの長きの間発禁になっていた幻の中編の復刊版。
まさかこの作品が読める日が来るとは、と武者震いしたのが昨日の事のようです。
で、肝心の内容なんですが、まさに凄まじいの一語につきますね。
これを読んで「差別を助長する」と息巻いた人達の気持ちもわからんでもないぐらいショッキングな描写、語り口は時代劇に対する思い込みを根底から覆すほど。
しかしながら、きちんと読みこみさえすれば、本作が、差別を助長するどころか差別に対する狂おしいまでの憤りに満ちていることは誰でもわかるはず。
作者の、部落起源に対する誤認にこだわるのは揚げ足取り、と言う他ありません。
やはり「だるま剣士」という異形、残虐性があまりに強烈なインパクトだった、と言うことか。
時代劇漫画の歴史に燦然と輝く大傑作だと思います。
死ぬまでに一度は読んでおくべき、というのはこういう作品のことを言う。
読後に肌が粟立つ一編なんて、そうそうあるものじゃありません。
ちなみに併録「おのれらに告ぐ」は血だるま剣法の後年のリメイク。
設定が変わっているので、オリジナルの半分の凄みもなし。
コメント
[…] さらにマニアックなのは、この作品が平田弘史の「血だるま剣法」のオマージュにもなっていることであり、すごいところをパロディ化したものだ、とつくづく感服。 […]