8マン

1963年初出 平井和正/桑田二郎
扶桑社文庫 1~4巻(全6巻)

とりあえず線のシャープさはとても63年に描かれたものとは思えず、感心させられました。

なるほど信奉者を生むだけはあると納得。

内容はアニメとそう大きく変わらず、勧善懲悪なアメコミ風変身ヒーローもの路線。

当時の子供達を熱狂させた作品ですんで、なにか特別なものがあるはずなんですが、リアルタイムで接していない分、さすがに今読み返してみておもしろい、と思える部分は残念ながら私にとっては少なかったですね。

平井和正もスパイダーマン(池上遼一/画)のような毒はまだ撒き散らしておらず、至極真っ当な少年漫画作りに徹してますし。 

警視庁捜査一課の7人の刑事のチームに含まれない、8番目のロボット刑事、という設定にはそそられるものがあるんですが、そのドラマがね、やっぱりどうしたって子供向けで古いんです。

加速装置を含む超人性はのちのヒーローものに大きく影響をあたえた、と思われるんですが、当時のファンが懐かしむのがやはり一番正しい鑑賞法かと。

連載終了直前で桑田二郎が降板したため、アシスタントが描いた最終話と後に作者がリライトした最終話の二つが8マンには存在するらしいんですが、私はそこまでたどり着けませんでした。

面目ない。

さすがに辛いものがありましてですね、うん。

国産アニメ黎明期の金字塔的作品であり鉄腕アトムと双璧をなした作品なので、知らないよりは知っていた方がいいと思うんですが、あまり若い読者にはオススメできない、というのが正直なところ。

石ノ森章太郎はここをヒントに手塚治虫を足がかりとして、数々の変身ヒーローものを産み出したのかなあ、なんて思ったりはしました。

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