四つ葉のマック

1983年初版 望月三起也
少年画報社ヒットコミックス 全7巻

非行少年を手続きなしで海洋艦型鑑別所に収容できる世界を描いたバイオレンス。

再読してみて私が一番驚いたのは、このプロットって、後のバトルロワイヤルであり、ハンガーゲームやメイズランナーの雛形ともいえるアイディアじゃないか!と思えた点。

もちろんそのままなわけではないんですが、これはそうとう早かった、と思います。

誰も80年代にこんな血で血を洗う不条理サバイバルなんてやってない。

理不尽な暴力にさらされる少年達がいかに海洋艦から脱出するか?が読みどころなわけですが、この作品が優れているのはそこに「ヌシ」と呼ばれる謎の反逆者や、国家規模の陰謀を織り交ぜたこと。

ありえないように思える設定ながら、肉付けの細かさ、デティールへのこだわりが、やたら物語を現実味溢れるものにしているんですね。

非現実を絵空事に感じさせないうまさが際立ってる。

若干お膳立てに変更を加えれば充分現在でも通用する内容だと思います。

海洋艦の中を「ヌシ」が大型バイクで走り回る、という突飛な絵もさすがの一言。

若干ラストが甘いかな、というのはあるんですが、個人的には作者の代表作に数えてもいい出来なのでは、と思います。

ワイルド7しか知らない人は是非読んでほしい作者80年代の秀作だと思いますね。

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