アメリカ 2014
監督、脚本 ジェームズ・デモナコ
パージの続編。
前作はパージの日に思わぬ災厄に見舞われたブルジョワ一家の、一夜の攻防劇が描かれていたわけですが、今回は、パージ当日に無法の街と化したロサンゼルスを、家を追われ逃げまわる5人の様子が描かれてます。
あ、オムニバス形式で続けるつもりなのね、と。
まあ別にそれはそれでかまわないんですが、私個人の希望としては前作の一家がその後、どのような生活を送り、翌年のパージをどのように迎えたか、を描写して欲しかった。
それでこそパージとはなにかがより掘り下げられると思うし、パージを施行するアメリカ社会の全体像も輪郭を帯びてくる、と思うんですよ。
登場人物丸ごと全部変わってしまったんじゃあ、どこまで行ってもパージの断片をせっせと拾い集めることにしかならない、と思うんですね。
幾通りものドラマを描くことが可能な題材であることは確かですが、ルールに対処する善良な一市民達をただ追ったところでルールそのものを俯瞰することにはならない、と思うわけです。
ルールにはつっこまないで!とばかり、不条理スリラーを気どるつもりなら別にかまいませんが、続編を作る環境に恵まれてるのにただ同じテーマをなぞるだけではもったいない、と思うんですね。
オチもなぜだか前回と似たような感じ。
どうして監督は毎回毎回寛恕の心を説こうとするのか。
宗教的意図でもあるんでしょうか。
それなりにスリリングで退屈はしませんが、なんだか今回もテレビドラマサイズだなあ、と思える発想の貧弱さ、踏み込みの浅さが目立ちましたね。
うーん、三部作らしいですが、この感じだったら次は見ないかもしれないなあ。