フランス 2001
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
脚本 ジャン=ピエール・ジュネ、ギョーム・ローラン

なんてかわいい映画を撮っちゃったんだろう、この人は、と初めて見たときはぶったまげましたね。
だってエイリアン4にロストチルドレンの監督ですし。
またなんかきわどいブラックな笑いがあったりするのかしら、恋愛ものに見せかけて毒々しかったりするんじゃあ、と思って見てたんですが、実に真っ当にファンタジックなラブロマンスで腰がぬけました、私。
ただ、だからと言って、よろしくない、というわけでは決してなくて。
ハートウォーミングなんていわれると、ひねくれものの私は、いやまて、そんなあざとい作品じゃないだろう、と物申したくなるんですが、これが女の子にも大うけした、というのは実によくわかる気がします。
アメリの内気さ、他人と親密になれないよそよそしさ、って、コミュ障云々以前にやっぱり少女特有の繊細さ、だと思うんですね。
これを男性の監督が撮った、というのが私は凄い、と思います。
どこか70年代の先鋭的な日本の少女マンガに通ずる部分もあるなあ、なんて思ったり。
作品のテーマは、ほんのささやかな一歩が世界を変える、普段色んな雑事に追われて見過ごしちゃってることに大事なことがあったりする、だと思うんですが、それをここまでカラフルに、遊び心たっぷりに描けるのはジュネだけだと思います。
なんか鼻の奥がツーン、となりましたね。
120分という長丁場の割にはシナリオは小品と言っていいと思うんですが、本筋と関係のないシーンひとつひとつが宝石のようで、全く退屈しません。
さりげなく下品だったり、コント風だったりもして、従来のファンも大きく失望することはないんじゃないでしょうか。
らしさを見失わずいい按配にソフィストケイトされた素敵な作品だった、と素直に言える一作だと思います。
コメント
[…] 誤解を恐れずに言うなら、私はこれ、アメリの衣鉢を継ぐ作品だ、と思った。 […]