1987年初版 山上たつひこ
マガジンハウス
ごめん下さいの路線をさらに洗練させたかのようなホームドラマ。
日々の生活におけるさりげない出来事を主婦の昌代さんの目を通して、滑稽に描いた作品。
手慣れたギャグのテイストは残しつつも、作者後期の独特なテイストがにじみ出た作品で、なんとなくコメディで片づけてしまえないような品があったりもします。
山上作品で品、というのも凄い話なんですが。
お得意の下ネタをほぼ封印した作品であることが、これまでと違う印象を抱かせてるんだと思います。
下ネタがなくなると品が残った、と言う事実が私を驚愕させていたりもするんですが。
題材や着眼点も独特。
特に第一話、切れすぎるおろし金に対する考察なんて、もう、ミステリばり。
後に小説家として発表した作品群と近い風合いを感じたりもしますね。
こんな漫画、誰も描いてないことだけは確かです。
異色作であり、隠れた秀作。
いや、好きですね。