1987年初出 田島昭宇
角川書店 全5巻

メディアミックス企画ありきで、大塚英志を原作に迎え描かれた作品。
なぜか単行本には大塚英志のクレジットがありません。
はて?よくわかりません。
小説、OVA、ラジオドラマ、 ビデオゲーム等、多岐に渡る展開があったようですが、私はどれも全く知りません。
それぞれのメディアから相互の流入があったのか、何度も再単行本化された人気作ですが、初読時、 えーこれ、手塚先生のどろろそのままじゃないか、と言うのが私の第一印象でした。
架空の世界を舞台に描かれたアクションファンタジーで、東洋と西洋の混在したような舞台が持ち味か、と思われますが、やっぱりですね、いくらキャラや細かな設定を置き換えたところで、どろろに感銘を受けた世代としてはこれはちょっとつらい。
製作チームが、どろろをモチーフにしてます、とあらかじめ防衛線張ってますんで安易にパクリだサルマネだとつっこめないようになってるんですが、ここまで初期設定が同じだったらそこはやはり、謝辞でもなんでもいいんで単行本内で断りをいれるべきだと思うんですね。
それが先達に対する礼儀であり、真摯な制作姿勢というものなのでは、と。
じゃないと知らない人はこれこそがオリジナルだと思っちゃいますよね。
もし、どろろを知らなければ、私も、これは独特のプロットだ、と高く評価していたかもしれません。
どう批評すべきかわからないですね。
とりあえず絵柄が藤原カムイに似てるなあ、なんて思ったりしました。
まあ、田島昭宇は時代とともにどんどん絵が変わっていった人なんで、ここだけで判断は出来ませんが。
当時、楽しんだ人の記憶にだけ生きる作品だと思います。
後追いでどうこういえるものじゃない。
残念ながら私にはこれがどろろの換骨奪胎であるとは思えませんでした。
余談ですが本作、禁断の左開きです。
恐ろしく読みにくいです。