2010年初出 岡村星
講談社シリウスKC 1~5巻

見知らぬ老人の心臓の痛み(病)が、なぜか自分の心臓に伝わってくるという、謎の状況に襲われた女の巻き込まれ型サスペンス。
物語のミソは、老人が過去に娘を誘拐されており、今も犯人を捜し続けていること、及び、犯人が偶然にも主人公の会社の同僚だったこと。
いったいなんなんだ、この奇妙な符号の合致は!ってな感じで、女はなし崩し的に老人の復讐に手を貸す羽目になる、というのがおおまかなあらすじ。
なんせ犯人に抗するのはうら若き乙女と持病持ちの老人なんで。
しかも心臓の痛みを共有しているというやっかいな足かせもある。
こりゃどう考えても犯人をなんとかできそうにないな・・ってところからの知恵比べ、逆転劇がお話の醍醐味、ですかね。
デビュー長編だと考えるなら、なかなかに臨場感、緊迫感の作劇が達者だと思います。
読者に続きを読ませるだけの力量は十二分にある。
またこの人、セリフ回しが巧みで。
特にガールズトークに特化していて、この独特な浮ついた感じって、初期の岡野玲子ぐらいでしか私は読んだことない。
多分、本領は日常系というかラブコメ的な方向性なんだろうな、と思うんですけど、本領以外でこれだけやれるんなら上等だとも思いますし。
やけにキャラの目が小さい作画も特徴的。
意外と誰にも似てない絵なんですよね。
これは強力な武器だと思います。
ま、ぶっちゃけ、主人公がタフすぎるだろ!とか、心臓の痛みを共有するという謎設定にちょっとのれない部分(よくわからなすぎて)はあるんですけど、それでも読んでて「完結まで追おう」と決めていたことは確かで。
そしたら、ですよ。
2015年に5巻が発売されて以降、予告されていた最終巻がいまだ(2025年現在)発売されぬまま、ときた。
もうね、ストーリー的には終局への道筋がほぼ見えてるんですよ。
でも中断。
事情は知らないけど、多分もう続きは描かれないんだろうなあ、と思います。
逆に、今更続き描かれても困るし、もういいわ、興味ねえわ、と言えちゃうほどの年月が経過してしまった、ともいえる。
ただただ残念ですね。
この作品がきちんと終わってたら岡村星のキャリアも全然変わってたと思うんですが、どうでしょう、余計なお世話か。
ラブラブエイリアンの人、みたいな認識はもったいない、と思うんですけどね、うーん、とりあえずテンタクルの続き買ってみるか。
好きな漫画家なんですけどねえ、なんか色々歯がゆいわ。

